サウジ記者殺害の最近の動き どうなっちゃうのか、ムハンマド皇太子の去就

野蛮、残忍、無法なサウジアラビア記者殺害事件で、今後の最大の焦点はサウジの事実上の支配者、ムハンマド皇太子の去就だ。展開を左右する関係国、関係者はどう思っているのだろうか推測した。

①トルコ大統領 どこまでサウジを追い詰める

注目されていた23日のトルコ、エルドアン大統領の議会演説は、サウジ王室を追い込むほどの新事実は語られなかった。トルコ当局が保有していると言われているカショギ記者殺害時の録音について語られなかったし、ムハンマド皇太子への言及もなかった。

しかし、「殺害は計画的」で、「この事件を一部の警護、情報担当者の仕業とすることは、われわれも国際社会も満足しない。誰の命令だったのか説明されねばならない」と語り、サウジに真相を明らかにするよう要求した(Guardian)。

「今後も追及する証拠は持っているぞ」との含みを持たせているようにも聞こえるが、エルドアン大統領が目標とするゴールがよくわからない。

②米国の本音は現状維持

今後の展開を左右するだろう米国のトランプ大統領は、サウジの一連の対応について「もともとの考えが悪かったしやり方もまずかった。かつてないほどのひどい隠蔽だ」と厳しく非難した(NHK)。エルドアン大統領の演説で、新事実は出なかったにもかかわらずの非難で重みも感じる。

さらに米政府は同日、事件への関与が疑われるサウジアラビア政府の当局者ら21人のビザを取り消す措置をとると発表した。ポンペオ国務長官は「アメリカの対応はこれで終わりではない。責任を追及するためさらなる措置を検討する」とも述べた(NHK)。

これだけ見ると、厳しさが際立つが、同時にトランプ大統領は、
「私はサウジ国王とも皇太子ともきのう(電話で)話した。皇太子は、自分は事件とは関係なく、もっと下の者がやったことだと強く言っていた」と語り、サウジ王室を非難しなかった(前出Guardian)。

もともと、トランプ大統領は今回の事件について、サウジ非難と擁護の間で揺れる発言を繰り返している。本音は、現体制存続なのだろう。武器は買ってくれるし、対イランの盟友だから。「殺害は非道、でも王室は知らなかった」で幕引きしたいのではないか。

③国際資本は迷ってそう

サウジで23日から開かれる「砂漠のダボス会議」と呼ばれる投資会議(フューチャー・インベストメント・イニシアチブ)は予定されていた世界の財界トップの出席取りやめが続出した。

ドイツ銀行、JPモルガン・チェース、ブラックロックのC金融界EO、グーグル、ウーバー(米配車大手)、バイアコム(米メディア大手)、フォードなどが参加を取りやめた(ブルームバーグ、ダイヤモンド=ロイター)。

その一方で、ロシアの政府系投資会社は参加、石油・ガスやインフラ分野でトラフィギュラ、トタル、現代、中国兵器工業集団、シュルンベルジェ、ハリバートン、ベーカー・ヒューズなどと25件の契約を締結したとサウジ政府は喧伝した(ロイター)。

講演を予定していたソフトバンクの孫正義CEOは、講演は中止したが出席した。サウジはソフトバンクが主導する10兆円巨額ファンドの最大の出資者。欠席するわけにはいかなかったようだ。

グローバル企業がサウジとの取引を次々に中止するような事態になれば、ムハンマド皇太子退任の現実性も出てくるが、企業の方も様子見の段階だろうか。

④サウジ王朝 反逆王子が現れるか

ムハンマド皇太子は、23日にカショギ記者の複数の家族と会った。その中には、息子もいて皇太子と握手している場面を官営のサウジ通信社に撮影させた。Washington Postに、その写真が掲載されている。サウジ国内では動画も放映されたのではないか。

「私はまったく知らない」という皇太子のアピールなのだろうが、茶番じみてますね。本当にシロならば、記者会見すればいいのだから、逆にうさんくささを感じるのが選挙のある国の市民感覚なのに。これを見ると、皇太子から降りるつもりはなさそうだ。

サウジは世論で動く国ではないだろうから、現体制が変わるとすれば、皇太子に弾圧されてきた王子たちの反逆だが、どうなのだろう。

以上、今後の展開を左右しそうなプレイヤーの思惑を独断で推測した。一市民のうわべの推測にすぎない。ただ、これらのプレイヤーたちの動きが左右するのは間違いないだろう(米国以外の主要国の動き、トランプの動きを左右する米議会も要チェックだが)。

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