【今週起きたこと(10月15日~)】サウジ記者殺害疑惑 米の為替報告書

10月15日~21日 ※海外は現地時間 JST=日本標準時 14日まで出来事を順次追加、更新
16(火) 安倍首相、スペイン、フランス、ベルギー訪問へ出発(20日帰国)
日米貿易協定は早ければ来年1月交渉開始 米議会に通知
17(水) EU首脳会議、英離脱協議は進展なし
米財務省「為替報告書」 中国の為替操作国認定を見送る
18(木) アジア欧州会議(ASEM)首脳会合(ブリュッセル、19日まで)
19(金) 9月の全国消費者物価指数は前年同月比1%増
7~9月期の中国GDPは、前年同期比6.5%増
20(土) サウジアラビア政府がカショギ記者の死亡を初めて認める。関係者18人逮捕
トランプ大統領、中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄すると表明
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為替操作国、中国はクロにされずに済んだ

17日(水)、「米財務省は、貿易相手国の通貨政策を分析する半期ごとの為替報告書を公表した。貿易摩擦が激化している中国を「為替操作国」に指定するか注目されていたが、指定を見送った」
ただし、引き続き監視リストに指定した(日経新聞)。監視リストには、中国のほか、日本、ドイツ、インド、韓国、スイスが指定された。

先日書いたように、まっとうに考えれば認定はありえないのだが、トランプ大統領の「操作している」との思い込みがひっくり返すか注目されていた(Kobaちゃんの硬派ニュース)。

サウジ、急進改革派のムハンマド皇太子は関与しているのか

サウジアラビアによる在トルコ総領事館での記者殺害疑惑の目まぐるしい報道が飛び交った週だった。野蛮、残忍、無法な行為にサウジで急進的な改革を進める33歳のムハンマド皇太子が関与しているとも伝えられた。

ムハンマド皇太子は、昨年9月、聖職者ら保守派やリベラルな思想家、そして王族の一部などの身柄を拘束する強権的な姿勢の一方で、女性の自動車運転を解禁したり、数年前には考えられなかったコンサートや公演を催すなどしていたので、自由や人権を尊重とまではいかなくても配慮する人物かと思っていた。しかし、今回の事件で一気に信用を失墜させた。

アラブ諸国の盟主、サウジアラビアは同じイスラム教でも宗派が違うイランと対立しており、同じくイランとの関係を悪化させているトランプ政権にとって、友好関係を維持したい存在で、サウジの舵取りの方向性は大いに気になる。米国製武器を1100億ドル買い取ってくれる大のお得意様でもある。

トランプ大統領は、殺害疑惑に対し、当初は厳しい言い方をしていた。CBSテレビが13日に公開したインタビューで、大統領はサウジ政府が関与していれば「我々は激しく憤慨する。厳罰が待っている」「サウジが関与した可能性があるのかといえば、ある」と語っていた(日経新聞)。

米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長も14日に、サウジがカショギ氏失踪に責任があることが分かれば、トランプ大統領は「厳しい行動」を取ると警告した(ブルームバーグ)。

しかし、16日に大統領は、「サウジへの国際的非難が強まっていることについて「『推定有罪』だ。私は好きではない」と語り、サウジを擁護した」(朝日新聞)。さらに、17日には、FOXビジネスニュースとのインタービューで、トランプ大統領は米国がサウジとの関係を断絶するかとの質問に対し、「それは望んでいない」と答える(ロイター)など、サウジ寄りの発言に転じた。

それが、18日には、大統領は、「記者が死亡した可能性が高いとの見方を示した上で、サウジ政府の関与が判明すれば「非常に厳しい」措置を取ると表明した」(共同通信)と、再び、厳しいトーンに戻った。サウジ擁護と批判の間で揺れ動いているように見える。

サウジに派遣されたポンペオ国務長官は、帰国して大統領に報告した後の18日、「サウジ側の捜査を数日間待ち、結果を踏まえて米政府の対応を決める」(産経新聞)と語った。

トランプ政権としては、事件は現場の跳ね上がりか過失が原因として、王室に波及を及ぼさない形で決着させたいのだろう。議会からの圧力や国際世論、それに11月6日の中間選挙などをにらみながら来週、態度を決める。