バフェット氏、次の暴落を待っているのか いまは投資先が見つからない

「投資の神様」、ウォーレン・バフェット氏が大きな投資先を見つけるのに苦心しているらしい。買い値が高すぎると判断しているようで株式市場が大暴落した時には、大量の買いに出るだろうと見られている(以下は、()部分を除いて、ウォールストリート・ジャーナルの記事「Warren Buffett Can’t Find Anything Big to Buy」=2月21日電子版=に拠る)。

バフェット氏が率いる投資会社、バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)が最後に大きな買い物をしてから3年経つという。 航空機エンジンの部品製造、プレシション・キャストパーツ(Precision Castparts)を320億ドル(3兆5200億円)で買ったときのことだ。

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競争相手が爆発的に増えた

巨額投資が途絶えているのは、ひとつには競争相手が途轍もなく増えたためだという。彼らはいち早く買収しようとしているし、バフェット氏が買おうとする金額よりも高い値を出してくる。

競争相手であるグローバルなファンドマネジャーたちの資金を合計すると2.1兆ドル(231兆円)にのぼるという。(日本の企業が抱える現預金よりを少し上回る)。10年前に比べざっと2倍に増えたという。それに対し、バークシャー・ハサウェイが保有する現金は1030.6億ドル(11兆3300億円)だ(合計の数字と比べてわかることは、バークシャーの購買力が相対的に落ちているということだ)。

「高すぎる」と感じるバフェット氏

世界的な金融緩和が金余りの経済を生み、投資競争を激化させているわけだが、その結果、買い値、つまり株価が高騰して、バフェット氏は高すぎると感じている。

(昨年、武田薬品工業が同業のシャイアー(アイルランド)を7兆円近くで買収することを決め、その額の大きさに驚かされたが、金余り経済→資産インフレの影響を受けての額と言えるだろう)。

バフェット氏は毎年、バークシャー・ハサウェイの株主に手紙を送っているが、2017年の手紙には「楽観的な投資家にとって価格が不適切(なほど高い)」と書いている。

もっとも、バフェット氏が価格が高すぎるから取引を控えるのは今回が初めてではない。(あせらず待つ姿勢はバフェット氏の投資スタイルでもあるようだ)古くは1969年に、魅力的な投資機会が見つからないため個人の投資(private investing partnership)をクローズした。1990年代後半には、いわゆるドットコム企業の株価高騰を見て、テク系企業への投資を止めた。

世界金融危機では100億ドル超稼ぐ

こうした決定がその後の市場低迷の時の買いにつながっている。2008年の世界金融危機の時には、バークシャーは、ゴールドマン・サックスやGEのような優良企業に命綱となる資金を提供することができ、100億ドル以上を稼いだ。

「次に、株式市場が30%、40%下落してその状態が続きそうな時には、大きな取引に出るだろう」とバークシャーが筆頭株主になっている投資運用会社、ノーススターグループ(The Northstar Group)のヘンリー・アッシャー社長は語る。

(2008年の世界金融危機の時は株価の下落が止まらないんじゃないかという不安の中、ダウ3000ドルを予測する債券エコノミストのレポートもあった。底値を見極めるのは難しいが、たとえバブルが崩壊しても再び回復するという相場観がなければバフェット氏の投資戦略は成り立たない。アメリカ経済<資本主義と言ってもいいのか>に対する信頼の表れか)。

今年のバフェット氏の株主への手紙は土曜日(23日)に送られる。どんな投資戦略を展開しているのか。

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