5G「世界初」を譲らぬ米韓企業 日本企業が焦らない理由

一番乗りには、その座を争う当事者にしかわからない意味合いがきっとあるのだろう。次世代通信「5G」の商用化世界初をめぐって米韓の通信大手がお互い「初」の名乗りをあげた。

韓国通信大手であるSKテレコム、KT、LGユープラスの3社は以前から5Gの「4月5日商用開始」を表明していたが、これを知ってのことだろう、米国の通信大手、ベライゾン・コミュニケーションズが3日、5Gに対応した携帯通信向けサービスを米2都市の一部で開始したと発表した。

当初は11日に開始する予定だったというから、ちゃっかり前倒しして世界初を狙ったわけだ。韓国3社は驚いたことだろう。出し抜かれまいと、3日深夜にサービスを始めたと4日に発表し、米韓企業がそろって一番乗りを宣言することになった(以上、日経新聞)。

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日本は今年からプレサービス開始

日本はどうなっているのか。昨年10月、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社の社長がそろって、2019年に5Gのプレサービスを開始する計画を明らかにした。楽天も2020年に5Gをスタートする。

あくまでも「プレ」で、本格的なサービス開始は、東京オリンピック、パラリンピックの頃からになる。G20の国々の中では、ドイツ、フランス、カナダ、中国、インドなどと同時期の3番手グループに入る(日経新聞)。

日本は米英伊韓南アに遅れてのスタートになるのだが、NTTドコモの場合、無理に急いではいないそうだ。それには理由がある。「ドコモにはかつて3Gのときに「世界初」にこだわってどこよりも早くサービスを導入したものの、グローバル規格が定まる前だったために後々苦労した苦い経験がある」という(engadget)。

ドコモ 5G推進室の中村武宏室長は、「あのときの教訓もありますから、何が何でも一番になることに興味はありません。とはいえ大きく遅れるのも困るので、4Gのときと同じように第一陣のグループにはいたいと思っていますし、実際に今もそのポジションにいると認識しています」と語る(同上)。

ネットワーク提供ならすぐにできる

吉澤和弘社長は、ドコモの5G戦略をこう語る(News Insight)。
「実際にお金を頂いて提供できるサービスがどこまでできるのか。5Gというネットワークを提供するだけでいいのならすぐできるが、それを活用したビジネスができていることの方が重要なのではないか」

5Gというインフラを整備するだけでなく、そのネットワークで収益を上げられるサービスとビジネスモデルを構築した上で、商用サービス化を推し進めたいというのだ。

4Gの速さがスマートフォンを普及させたように、消費者を納得させるような利便性が5Gには見い出しにくい。自動運転車への接続などむしろ企業向けのビジネスが大きな市場になりそうだ。

しかし、今年から始めるプレサービスでは、消費者にもアピールしようと、ラグビーW杯にAR(拡張現実)グラスを活用したり、遠隔で試合を楽しんでもらうパブリックビューイングなども計画しているという。

企業向けでは、遠隔医療や建設機械の遠隔操作などを、商用サービスに近い環境で実証していく(ここまでNews Insight)。

吉澤社長らの言葉が世界への遅れに対する言い訳なのか、あるいは根っからの戦略なのかを見分ける知見は残念ながらKobaちゃんは持ち合わせていない。ただ、5Gの特許は中国・ファーウェイが世界的にも先行しているらしい。5Gビジネスの覇者は、商用サービス世界初になるよりも世界標準となる技術特許を握った方だとは思う。次回以降に、そのことを調べてまとめてみる。

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