香港デモに中国が異例の対応を見せてきたのは、なぜ

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香港の民主化デモは、「逃亡犯防止条例改正」のはねつけ成功に満足するどころか、さらに普通選挙の実施要求や反中国スタンスの強化など中国政府、中国共産党のレッドラインに踏み込みつつある。民主派勢力がこのまま突き進んでいったら、中国はどう動くだろうか。まさか人民解放軍が出動することはあるまいが。まずは、香港デモに対する中国政府のこの2カ月間の対応を調べてみた。反体制運動への過去の対応とは違う点があることを知った。

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反体制運動、過去とは違う対応

違いは二つある。ひとつは、反体制派に譲歩している点だ。中国では大量の暴動が各地で発生しているが、国内外に伝えないので実態は不明だが、基本の対応は「抑え込み」だろう。天安門事件が象徴している。2014年の香港の雨傘運動の時も譲歩しなかった。

今回も、6月9日に大規模な市民デモが発生した当初は、譲歩しないだろうとの見方が一般的だった。

ウォールストリート・ジャーナルは、6月11日(電子版)に北京発の記事で、「中国は改正を断固として進める」との観測を伝えていた。「中国内の反体制派をいったん黙認すれば、他でも反政府の動きを促しかねないリスクがある」からだ。「香港を含め、中国内の反体制派を容赦しない習近平国家主席の方針が揺らぐことはなさそうだ」と書いている。

ところが、この記事からわずか3日後の15日に、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官がデモの発生する理由となった「逃亡犯条例改正」の立法会での審議を延期すると発表した。中国最高指導部で香港を担当する韓正副首相と方針を協議したうえでの譲歩だ(日経新聞)。

あっさりと譲歩したのはなぜだろう。こんな推測がなされている(論座)。

①6月末の大阪G20サミットを控え、国際社会の圧力の強まりを懸念したため。
②親中派で保守的な立場の人々にも条例改正反対が広がった(倉田徹・立教大教授)。立法会で改正案を通過させるのが難しい。
③習近平指導部が台湾問題への影響をかなり気にしていた。「一国二制度」が自由を力で押し込める非情なものであるとの実態が、台湾の人々に印象づけられるのは何としても避けたかった。来年1月は、台湾総統選挙が行われる。香港デモは、「一国二制度」は受け入れられないと表明している現総統、蔡英文氏の再選に追い風になったと言われている(ニューズウィーク)。

タイミングが助けになったのだが、サミットや台湾が気にせざるを得なかったのも、香港の動きが内外のメディアに詳細に伝えられ、中国政府も誤魔化しがきかなかったという大前提があることも忘れてはならない。

習主席は、そっと条例改正したかったはず

違いのもうひとつは、反体制の動きや反体制とまでは言わないが、当局に逆らう動きを国営メディアは伝えたがらないでいたのが、今回は、ニュースで流すし、SNSで拡散するのも容認している点だ。

今回のデモも当初は中国国内では報じられなかったらしい。きっかけは、7月21日にデモ隊の一部が中国政府の出先機関である香港連絡弁公室に卵を投げたり、スプレー塗料で落書きしてからだ。
国務院香港マカオ事務弁公室は「絶対に許すことができない」と非難し、22日、中国の主要メディアは、香港で「過激なデモ参加者」が前日に政府の出先機関を襲撃し、庁舎正面の国章に黒いペンキをかけたり、政府を侮辱する言葉を壁に書き殴ったりしたと報じた(ウォールストリート・ジャーナル)。

国営メディアが中国の国旗や国章の破壊行為を報じることもめったにないというから異例の対応だ。香港には中国本土からたくさんの旅行客が訪れ、デモを目の前で見て、帰国し、その人たちの口から香港の様子は中国国内でもがかなり浸透しており、隠し切れない局面だったのかもしれない。

そこにデモ隊が中国国民の誇りである国旗などをデモ隊が汚せばデモ隊の暴徒ぶりを印象づけられるし、中国国民が反感を持つと判断し、積極的な広報に転じたのだろう。

反体制の動きに異例の対応を見せた中国政府。習近平主席とすれば、譲歩することなく、そっと目立たないまま条例改正を実現したかっただろう。しかし、そうならなかったのは、習主席と香港の親中国派の間がしっくりいってないからだという。次回にまとめてみる。

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