カリフォルニア州バークレー市、驚きの「天然ガス使用禁止」 なぜ?

米カリフォルニア州バークレー市で、来年1月から新築の住宅、低層ビルで、天然ガスの使用が禁じられることになった。日本でも最近は、高層マンションでのオール電化は稀ではないが、自治体が丸ごとガス使用禁止するなんて例はない。米国でもバークレー市が初めてだが、カリフォルニア州では、バークレー市に足並みをそろえる自治体が続出すると見られている。

この驚きのニュースは、在野で活動を続ける計量経済学者で、エネルギー・環境問題にも詳しい、室田泰弘さんの9月14日付のブログで知った。ネットで調べた限りでは、日本のメディアはほとんど伝えていない(「TABI LABO」が短く伝えている)。以下の記述は、ほぼ室田さんのブログに拠るものだ。

カリフォルニア州では、2045年までに発電電源を100%クリーンなエネルギー(ソーラーや風力)にすることを2018年に決めている。その中間目標として2030年までに電源の60%をクリーンエネルギー化することになっている。

そのカリフォルニア州にあるバークレー市はサンフランシスコ近傍、東北に位置する人口約10万人の都市。ウィキペディアによると、米国でも政治的・社会的に最も進歩的な都市として知られ、60年代のヒッピー文化の発祥の地だそうだ。日本でもよく耳にするカリフォルニア大学バークレー校は、ノーベル賞受賞者をゴロゴロ輩出している。

そのバークレー市が今年7月に新築の住宅、低層ビルでの天然ガスの使用を禁止するよう立法化した。

使用禁止の根拠になった「発見」

この決定には、最近の地球物理学者たちの発見があるという。彼らは、米国東部の都市部(ワシントンからボストン)上空の大気サンプルを採取し、メタン濃度を分析したところ、米環境保護局の基準をはるかに超えていた。その主な原因は天然ガスの漏れ(パイプライン、天然ガス配送のインフラ)によるものだと言う。思うに、シェールガス採掘の際の漏れもあるに違いない。

この発見は、地球温暖化防止からは見過ごすことができない事実だ。メタンは二酸化炭素(CO2)に次ぐ温暖化ガスだからだ。天然ガスと言えば、燃焼時のCO2排出量が石炭、石油に比べ小さいので、化石燃料としては、比較的クリーンなエネルギーと見られてきた。

「比較的クリーン」ではなかった天然ガス

しかし、地球物理学者たちの研究結果に従えば、「比較的クリーン」の看板は降ろさなければならない。バークレー市の天然ガス禁止の決定は、こうした最近の議論に基づいたものだという。

世界に波及するカリフォルニア州の決定

カリフォルニア州では、50以上の市、郡がバークレー市と同様に、新しい建物におけるガスの使用禁止、制限し、完全電化の促進策を考えているという(The Guardian、以下の記述は同紙より)。

こうした動きは、ガスだけを供給する業者にとっっては「死の宣告」で、閉山に追い込まれた炭鉱業者に似ている。例えば、ソーカルガスは、米国の半分の州、2200万の顧客にガスを提供しているが、電化によりほとんどすべてを失う。

また、電化によってガス離れが進めば、少なくなったガス利用者でインフラ設備を維持するコストを負担しなければならない。いまでも収入に不釣り合いな光熱費を払っている人たちがいるので、ますます厳しい境遇に追い込まれる。

日本でもいずれ”天然ガス不信”の議論が起きるだろう。日本では天然ガスをほとんど生産していないので、ガス田からやパイプラインからのメタン漏れの心配はないかもしれない。しかし、天然ガス使用規制論が世界的に強まれば、現在、常識視されている「天然ガス安心論、ほぼ無害論」の空気が変わる可能性はある。

室田さんが書いているように、「カリフォルニア州が決めた政策(例:レストラン等における禁煙、同性婚の承認、リサイクルの推進など)は、アメリカという国の枠を超えて世界の各都市に浸透しつつある」からだ。

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