大阪府が3回目の緊急事態宣言の発動を政府に要請したが、新型コロナウイルス感染症の死者数は今年に入って6000人を突破した。すでに昨年1年間の2倍近い数字に達し、年間の死者2万人のペースだ。いったんは底を打っていた死亡率も上昇し始めている。第4波の感染者増で5月は死者増のペースが加速しそうだ。
今年になっての新型コロナで新たに亡くなった人の数は、4月20日時点で6232人と昨年1年間の3492人をすでに80%近く上回っている(NHK)。(9724人-3492人=6232人)
感染者の増加が当然、死者数を増やしているわけで、感染者数はこの間、30万人増えている。昨年1年間の23万5908人を大きく上回っている。1月に始まった第3波から見れば、昨春の第1波、昨夏の第2波はさざ波に見える。
2月の死亡率は5%に跳ね上がる
表1 | 2021年 新型コロナ死亡率 | ||
新規感染者数 | 死者数 | 死亡率(%) | |
1月 | 154988 | 2261 | 1.5 |
2月 | 41897 | 2144 | 5.1 |
3月 | 42450 | 1279 | 3.0 |
4月(20日時点) | 67013 | 548 | 0.8 |
(出所)NHK |
死亡率も上がっている(表1)。1月は1.5%だったのが、2月は5.1%に跳ね上がった。新規感染者数は1月の方が圧倒的に多く、2回目の緊急事態宣言が東京、大阪などに発出されたのも、この感染者急増の事態を受けての措置だった。 死亡率も上がっている(表1)。1月は1.5%だったのが、2月は5.1%に跳ね上がった。新規感染者数は1月の方が圧倒的に多く、2回目の緊急事態宣言が東京、大阪などに発出されたのも、この感染者急増の事態を受けての措置だった。
死亡率は3月に3.0%に下がり、4月は0.8%と1%を切っている。しかし、4月に入っての感染者の急増は、再び1、2月と同じ経路に乗ってしまったようだ。 2月に死亡率が高まったのは、感染者の急増に病院のベッドが間に合わず感染者が入院できなかったり、高齢者施設でのクラスター発生が原因だろうか。
高齢者には依然、恐ろしい病気
表2 | 新型コロナの死亡率 | |||||||||
10歳未満 | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | 80代以上 | 全体 | |
2020年 | ||||||||||
4月30日 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.1 | 0.3 | 0.6 | 2.1 | 6.0 | 12.9 | 2.2 |
10月28日 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.1 | 0.5 | 2.2 | 7.1 | 17.0 | 1.8 |
11月25日 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.1 | 0.4 | 1.7 | 5.7 | 14.0 | 1.4 |
2021年 | ||||||||||
1月6日 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.1 | 0.3 | 1.4 | 4.5 | 12.3 | 1.4 |
1月27日 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.1 | 0.3 | 1.3 | 4.3 | 11.4 | 1.3 |
2月24日 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.1 | 0.3 | 1.4 | 5.0 | 13.3 | 1.6 |
3月31日 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.1 | 0.3 | 1.6 | 5.4 | 14.3 | 1.8 |
4月14日 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.1 | 0.3 | 1.5 | 5.2 | 14.0 | 1.7 |
(出所)厚労省「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向」 |
死亡率を昨年の流行の始まりからの推移も調べてみた(表2)。こちらは厚労省のデータだ。単月ではなく、調査時点での累計の割合なので、大きなトレンドがわかる。
1回目の緊急事態宣言を発令中の昨年4月30日時点では、死亡率2.2%だった。しかし、免疫過剰のサイトカインストームのような重症化メカニズムが明らかになるにつれ、治療法も確立していき、死亡率は低下していった。今年1月27日時点には1.3%まで下がったが、今年2月ごろから少しずつ上昇している。これは前述した、単月の数字の推移に沿った動きだ。
年齢別にみると、高齢者の死亡率は一貫して高く、70代は5%前後、80代以上は常に10%以上を超えていた。一方、30代以下は、この1年間ほぼゼロだ。高齢者には怖い病気だが、若い人にとっては、他者への感染の恐れや自身の後遺症の問題を除けば、「ただのインフルエンザ程度の病気」と受け止めても不思議ではない。