民主党リーダー、ナンシー・ペロシがトランプ弾劾を控えている理由

6日投票の米中間選挙は、まだ開票中だが、上院は共和党、下院は民主党が過半数を制する結果となった。

民主党の下院勝利で、大統領の弾劾訴追が可能になった。大統領の弾劾-罷免の仕組みは過去のブログが参考になると思うが、要は、下院が検察庁の、上院が裁判所の役割を担う。訴追には下院の過半数、罷免には上院の3分の2が必要で、今回の中間選挙の結果、訴追は可能になったが上院における罷免はよほどのことがない限りありえない。

それでも米国民の間には弾劾を期待する声は大きい。CNNは、上下院の大勢を伝えた後「中間選挙の投票者の40%がトランプ大統領の弾劾を望んでいる」との全国出口調査の結果を流した。

過去に、民主党のクリントン大統領が弾劾訴追されたが、そのほかにも弾劾されそうになった大統領もいたが、40%という数字は彼らよりもずっと高い数字だという。とりわけ民主党支持者の77%が弾劾を望んでいる。

「民主党の現在のリーダー、ナンシー・ペロシ氏は弾劾に動くことに関心はないと述べている。しかし、民主党支持者たちの声は静まらないだろう」と報じる。

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クリントン弾劾で敗北した共和党

Independentは、ペロシ氏が弾劾に乗り気でないの理由を含め、今後の見通しについて解説記事をつい先ほど流した。以下は「」に入れていないが、記事内容の要約だ。

昨年、6人の民主党員がトランプ弾劾議案(articles)を下院に提出したが多数を得られなかった。ペロシ氏や民主党指導部が、時宜にかなっていないし、弾劾は優先すべき問題ではないと判断したからだ。

弾劾を避けたがる理由はいくつかある。まず、中間選挙では、選挙中に弾劾(impeachment)という言葉を避けたのは、有権者に拒否反応を起こさせるからだ。

クリントン大統領の時は、共和党が容赦なく彼を責めた。その結果、下院で敗北し議長の座を失った。

さらに、ロシアによる大統領選挙の干渉を捜査しているミュラー特別検察官がトランプ陣営との共謀を掘り起こしてくるのを見守っているからだ。

その結果、陣営の誰かを新たに起訴したり、追い込まれたトランプ大統領が、ミュラー氏自身を、あるいは彼の上司であるジェフ・セッションズ司法長官やロッド・ローゼンスタイン副長官をクビにしたりすることが起きるかもしれない。

民主党の戦略アドバイザーたちは「民主党は、ミュラー報告が出るまでは、(弾劾など)やらないと思う」と示唆しているという。(記事内容はここまで)

ミュラー氏は、「捜査結果の中核的な部分を11月の中間選挙後間もなく報告する見通しだ」とも報じられている(ブルームバーグ)。トランプ陣営との共謀はなかったとの報告だったら、ペロシ氏ら民主党指導部はどうするのだろう。今回の選挙で新たに下院議員になったオカシオコルテス氏らバーニー・サンダースチルドレン、党内左派、リベラルが叛旗を翻さないだろうかなんて、想像をふくらませてしまう。

※クリントン政権で労働長官を務めたリベラルな労働経済学者、ロバート・ライシュ氏も弾劾にはあまり乗り気でない。過去ブログで紹介しているので、そちらも読んでやってください。